彼の名はスイット、少女失踪事件の犯人らしきサバターという男の昔の友人。一行はスイットの協力で、サバターとコンタクトを取ろうとしたのだ。 しかし、突如路線を変更して、スイットの事など忘れていたのだ!
GM:「キミらを見たスイットが一言。『ここにいたのか。ずいぶん捜したぞ。』」
一同爆笑。
ヴォーグ:「オランからエレミアまで来たからなぁ。」
GM:「彼は君等と別れた後、自分なりにサバターについて調べたらしい。それで色々分かったから伝えようと追ってきたらここまで来てしまったという。」
ヴォーグ:「よく追い着いたな。」
ボン:「どうやら新情報らしいぞ。」
GM:「タッドは西に向かった。」
一同爆笑。
GM:「冗談はおいといて、これから話す情報はある筋から入手した極秘情報だから他言は無用だと言ってます。」
ヴォーグ:「おおっ!」
ネリィ:「よく調べたね。」
サバターは10年ほど前にギルド上層部の命令で外部からの圧力や策略を事前に素早く察知し、調査、報告するという事を諜報部の下で行っていた。 その仕事は極秘であるため、諜報員を各地に潜入させて調査する必要があった。そこでサバターの潜入場所として選ばれたのが、クカチ村だった。 クカチ村で生活をするために偽名を使ったのだが、その偽名がタッドという。こうしてサバターはオランとクカチ村を行き来しながら生活をしていたらしい。
ヴォーグ:「なるほど……あれがサバターだったのか。」
GM:「で、例の事件が原因でギルドを抜けたということです。」
ネリィ:「例の事件ってなんだっけ?」
GM:「ギルドと外部の争いに巻き込まれて、サバターの彼女が死んだ事件です。」
ネリィ:「あ、はいはい。」
GM:「話は変わって、『今のサバターには、後ろ盾となる組織があるらしい。』と、スイットは言います。」
ネリィ:「組織?」
GM:「名前の無い、謎の多い組織です。規模は小さいが活動内容は過激で、今回の少女失踪事件にも、この組織が絡んでいるらしいです。浚う目的は不明だけど。」
ファレン:「本部は分からないの?」
GM:「不明です。ただ、少女の失踪が一番最初に起こったのはロマールみたい。」
ネリィ:「ロマールかぁ。」
ヴォーグ:「さらに西だな……。」
ボン:「ここで重大な問題が発生した。これからサバターと呼ぶのか、それともタッドにするか。」
GM:「重大だね(笑)。決めておかないと俺も混乱すると思う。」
ネリィ:「タッドとサバターが同一人物だったとは……。」
ということで、これからはタッドで統一することにします。
GM:「忘れるところだったけど、また別の男が入ってきます。」
グロック:「誰?」
GM:「今度は盗賊ギルドの人らしい。」
ボン:「忘れてた(笑)」
情報によると、タッドは黒い衣装の怪しい男と二人でロマール方面に向かったという。その黒衣の怪しい男が滞在していた場所を特定、調査した結果、 四人分の女性用の衣服が発見され、サイズやデザインから推測するに十代半ば程度の年齢の人物が着ていたと判明した。 しかし、タッド達が向かった時には一緒に少女の姿は無かったという。
ファレン:「その女性用の服が欲しいんだけど。」
GM:「何すんの? 着るとか?」
ネリィ:「そ、そんな趣味が……。」
GM:「別にいいけど……。明日の朝に持ってくると言って帰っていきます。」
ヴォーグ:「役に立たんと思うぞ。」
GM:「スイットさんも『ロマールに言ったら、『血塗られた武勲』という店を訪ねるといいだろう。』と言って去ります。」
次の日、ファレンは約束通り女性用の服を受け取る。そして一行は準備を済ませてロマールへと旅立った。
≪過去を持たない少女と未来の見えない冒険者≫
GM:「さて、とうとうロマールに着きました。」
ネリィ:「『血塗られた武勲』という店を探します。そこら辺の人に聞いたりして。」
GM:「そうしますと、そのうち着きました。」
ネリィ:「入ります。」
GM:「中には店の主人らしい、屈強そうな男の人がいます。」
ファレン:「スイットに言われて来たんだが。」
ネリィ:「ちょっと違うような気がする。」
GM:「(呼び捨てかよ…)『アンタら、スイットの知り合いかい?』」
ネリィ:「一応……、そうです。」
ヴォーグ:「なんか借金を背負わされそうな感じがしないでもない。」
ネリィ:「実は……」
ネリィはオランで発生した少女連続失踪事件の事や、タッドの事などを話した。
GM:「そうすると店の主人は『はるばるオランから来たのか。』って言う。」
ネリィ:「まあ、そういうことです。」
GM:「『そういう事情であれば、二階の部屋を三つ使ってくれ。』と言って自分の名前を言います。彼はグラムといいます。」
ヴォーグ:「おお、なるほど。そういうことか。」
GM:「『知り合いのシアンっていう女が、『蒼い月』亭という小さな料理屋を経営しているんだが、そこに行けばきっと協力してくれるはずだ。』」
ネリィ:「行ってみよう。」
ヴォーグ:「誰が行くの?」
一同:「……。」
ネリィ:「そういう事を言うと誰も行かないから、皆で行こう。」
ヴォーグ:「分かった。それが一番建設的かもしれん。」
GM:「(おお、学習してる!)今は昼飯どきですよ。」
ネリィ:「みんなでご飯を食べに行こう。」
ヴォーグ:「その『蒼い月』亭にね。」
GM:「『蒼い月』亭に尽きました。女の子が『いらっしゃいませ、何名様ですか?』なんて笑顔で言ってきますけど。」
ヴォーグ:「六名様です……様? 自分で様と言うのか?」
ボン:「喫煙席で。」
一同爆笑。
GM:「女の子に『こちらです。』って案内されますよ。」
ファレン:「そうだ、店長いる?」
GM:「そうすると、少ししてからシアンと言う女性が出てきます。」
ファレン:「シアンさんですね?」
GM:「『私に用があるらしいけど、一体なんだい?』」
ネリィ:「グラムさんの紹介で来たんですけど……。」
ネリィは事情を説明して、タッドの似顔絵を見せたがシアンは知らない。しかし、少し考えてから一行を席に案内した少女を指した。
GM:「『あんたらの言う事件とやらに、あの娘が関係しているかもねぇ。』」
ヴォーグ:「……?」
GM:「シアンさんの話によると、彼女は記憶喪失だそうです。」
ネリィ:「もちろん年齢は16から18歳くらいなのね?」
GM:「それくらいに見えます。」
ファレン:「俺等って少女の似顔絵って持ってた?」
ヴォーグ:「無い。」
GM:「もらってないよ。」
ヴォーグ:「知ってるのは名前だけ。」
GM:「君等は失踪した少女の家族にも会わなかったしね。家族に会って特徴とかを聞くと思ってたんだけど、イキナリ囮捜査とか言いだすし(笑)。」
ファレン:「今更気付いてもね。」
GM:「一ヶ月前、少女が夜中に店の側に倒れてるのをシアンが発見、保護したそうだ。」
ネリィ:「どういう状態だったの?」
GM:「発見当時は血だらけで、焼けこげたボロボロの服を着ていた様ですね。急いでマーファ寺院に連れて行ったところ、 外傷はないけど記憶喪失と言われたんだ。それで記憶が戻るか身よりが見つかるまでは住み込みの手伝いという名目で保護しているんだそうだ。一応、少女はクレアと呼ばれてますけど、 これはシアンがつけた仮名です。」
ファレン:「その少女にタッドの似顔絵を見せてみて、怯えるようなら……。」
GM:「いや、特に何も。『どなたですか?』って聞かれるくらい。」
シアンはこの後、クレアが見つかった次の日に来た女性の事を話す。その人は馬に乗っていたのだが、傷が深くて死んでいる状態だったという。
GM:「『そっちの女性の身元も不明だし、当たってみたら?』と言ってます。」
ファレン:「名前は分かってるの?」
GM:「身元不明なんだって(苦笑)。分かってるのはその女性が冒険者であるということくらいみたいだよ。マーファ寺院に遺品を保管してるらしい。」
ヴォーグ:「じゃあ、俺はマーファ寺院に行こう。」
ネリィ:「シーフさん、ギルドの方をよろしく。」
ボン:「今度はリーダーを逃すなよ。」
ネリィ:「え、私も行くの!?」
ヴォーグはマーファ寺院で色々と説明をして、女性の遺品を調べさせてもらい、所持品の中にシーラという名前が書いてあったのを発見する。 そして、『風と山、火と水、光と闇』ということが書いてあるメモを拝借。シーラと言う名前が少し気になりつつ、ヴォーグは帰ることにした。
GM:「さて、盗賊ギルドに行った人は?」」
リュー:「誰が一緒に来るんですか?」
GM:「フェイズアウトぎみのリーダー。」
ネリィ:「今ならポテトが付いてます。」
GM:「では盗賊ギルドに着きました。」
ネリィとリューはタッドの似顔絵を見せて行方を尋ねる事にした。結果、前日に闇市で見たと言われる。
ネリィ:「闇市って?」
GM:「美術品など、闇のルートで入手したさまざまな品物が取り引きされてる場所。ユニコーンの角も売ってます。人身売買もね。」
ネリィ:「それはどこで行われてるの?」
GM:「ロマールは南北に別れていて、北側は貴族達が住む山の手な地帯で、闇市が開かれているのは南側の一般人が住む下町です。ウワサの剣闘士達の闘技場も 南側にあります。」
リュー:「闇市の後、何処に行ったかは……?」
GM:「そこまでは知らないみたい。」
ネリィ:「他の人と一緒だったとかは?」
GM:「黒い衣装の男が一緒だったらしい。」
リュー:「組織については知ってますか?」
リューとネリィは組織について以下の情報を得た。名前の無い組織には、やはり正式な名称は存在しない。 『全ての生物は平等である。そして平等であるがため、争うことは愚かである。全ては争うことなく平和に暮らすべきであり、その理想を現実のものとすること』 その活動目的は上記の通り。仮説だが、組織の活動が活発になってきてから、ファンドリアからロマールへ移住する人間が増加したことから拠点がロマールに存在し、 暗黒神ファラリスの信仰集団であろうということ。そして、組織の首領はフィリーという名前だということ。
GM:「以上が提供できる限界の情報だそうです。」
リュー:「あと、女の人の情報とかは?」
GM:「どっち?」
ネリィ:「二人いたっけ。」
リュー:「死んだ人の方です。」
GM:「その人は、シーラという冒険者です。」
ネリィ:「ここら辺の人?」
GM:「多分違う。この街の宿屋に複数で泊まっていたことが確認されてるし。」
ネリィ:「なるほど。」
GM:「二人で冒険者レベル+知力ボーナス+出目でチェックしてみて。」
ネリィ:「11。」
リュー:「17です。」
GM:「リューだけ思い出すけど、オランの冒険者仲間の中にシーラっていう女性がいた気がする。」
ネリィ:「知らなかったよ(苦笑)。その人も失踪事件を追ってきたのかなぁ。」
リュー:「チェックインしたのは何日前ですか?」
GM:「大体死亡した10日ほど前だから一ヶ月と一週間くらい前だね。」
リュー:「クレアさんの方は?」
GM:「君等が知っている程度の情報しか集まっていないみたい。」
ネリィ:「じゃあそろそろ帰りますか。」
情報を得たネリィとリューは情報料を払い、盗賊ギルドを出る。そして夕方、全員が『血塗られた武勲』亭に集合、情報を交換した。
ファレン:「この女性用の服を盗賊ギルドに見せたら何か分かるかな?」
ネリィ:「「そんなの見せても何も分からないと思うよ。」
ファレン:「名前とか……。」
ネリィ:「それは無い。80%無い。」
ヴォーグ:「その20%に賭けるとか。」
ネリィ:「実は訳の分からない文字が縫ってあるとか…。」
GM:「『へにゃらホゲ〜』とか?」
一同爆笑。
ネリィ:「そ、それは確かに訳は解らないわね……。」
ファレン:「クレアには家に帰れるかも知れないって言っておこうか?」
グロック:「変な希望は持たせない方がいいんじゃないの?」
ネリィ:「うん。」
ファレン:「そうだね。」
ネリィ:「どうせ彼女は、私にとっては路上に転がってる石みたいなモノだから。」
一同爆笑。
ヴォーグ:「しょうがねぇなぁ。嫌なことがあって忘れた記憶をほじくりかえす?」
ネリィ:「ショック療法だね。」
ヴォーグ:「思い出す課程でちょっと発狂するかも知れないけど。」
ボン:「<サニティ>を準備!」
ヴォーグ:「そう、落ち着かせるには<サニティ>だ。」
GM:「つまり発狂したら<サニティ>?」
ヴォーグ:「じゃあ、また思い出してみようか。」
GM:「キャーーー!!」
ヴォーグ:「<サニティ>。」
一同爆笑。
GM:「そんな事しようとしたら逃げるよ!!」
ボン:「いや、逃がさないさ。」
ネリィ:「それって楽しそう。狂気よ、狂気だわ!!」
ヴォーグ:「人の命が掛かってるんだ。発狂の一つや二つ……。」
みんなストレス溜まってるのかな……。
ヴォーグ:「俺の入手してきた羊皮紙なんだけど、『火と水、山と風、光と闇』って書いてあるんだ。」
ネリィ:「それだけ?」
GM:「うん。所詮メモなんて自分が分かれば良い物だから。」
ネリィ:「きっとあぶり出しだ。あぶってみる。」
GM:「皮の焦げる匂いがする。」
ネリィ:「じゃあ、水につける。」
GM:「フニャフニャに……チョット待て。インクだから滲むだろ!」
ファレン:「ヤバイよそれは……。」
ネリィ:「じゃあ、今のは無かった事にする。」
GM:「はい!?」
一同爆笑。
ファレン:「いいねぇ。リセットが掛かるのは(笑)。」
GM:「甘い! 人生にリセットは無いのだ。ということで羊皮紙に書いてあった文字は見えなくなりました。」
ヴォーグ:「は!?」
ネリィ:「ゴ〜メ〜ン〜ね〜。」
グロック:「何をした〜!?」
ネリィ:「大丈夫。ちゃんとこの羊皮紙に書き写したから(笑)。」
ヴォーグ:「とりあえず仮定なんだが、シーラがあんな状態になったということは、何かしら掴んでいたのかもしれん。
そこでシーラが泊まっていたという宿屋に行って、何か手がかりを捜すというのはどうだろう?」一行は明日になったらシーラの泊まっていた宿に行くことに決定。ボンとネリィは闇市に聞き込みという名目で遊びに行くが、特に何も収穫は無し。 そして次の日になった。
ヴォーグ:「さて、とりあえず『蒼い月』亭に行って朝飯を食おう。」
GM:「着きました。」
ヴォーグ:「では朝定食。」
GM:「朝定食は5ガメル。」
ヴォーグ:「でさぁ、この当たりの近くに冒険者の店ってある?」
GM:「『輝ける栄光』亭というのがあるよ。」
ネリィ:「名前のワリに汚くてボロいんでしょ?」
GM:「そんな事はないさ。メチャ綺麗さ!!」
ヴォーグ:「じゃあ朝定食を食べて、その『その輝ける栄光』亭に行こう。」
一行は朝定食を食べて、『輝ける栄光』亭に向かった。
ヴォーグ:「いきなり主人に向かって、クレアって人を知ってますか?」
GM:「はい!?」
ヴォーグ:「知ってるはず……ってクレアじゃねぇよ! シーラだ!!」
GM:「すると宿屋の主人は『ああ、シーラなら知ってるよ。死んだ冒険者だろ。仲間が生きているかも知れねぇから一応部屋ごと保管してあるよ。 で、あんたらは誰だ?宿代を代わりに払ってくれるのか?』」
ヴォーグ:「一ヶ月分をかぁ?!」
GM:「大体一人900ガメル。五人パーティーだから4500ガメルかな。」
ヴォーグ:「んなもんあるわけねぇだろ!!」
GM:「『違うのか……。じゃあ何の用だ?』」
ヴォーグ:「そのシーラが死ぬ前に何をやっていたか知らないか?」
GM:「冒険者をやってたみたいだよ。」
ボン:「分かり易いなぁ。」
ヴォーグ:「オラン出身だからこの辺には慣れてないはずだ。だから場所とかを君に聞いたと思うのだが。」
GM:「『闇市はどこか聞いてきたよ。それと地図を広げて相談していた記憶が有る。』」
ボン:「その地図は?」
ファレン:「そいつらの部屋をガサいれしてもいい?」
GM:「汚したりされたら困るからなぁ……。」
ネリィ:「大丈夫。来た時よりも美しくがモットーです。」
GM:「『仕方が無い。じゃあ、代わりに奴等の安否を確認してきてくれ。』」
ヴォーグ:「分かった。」
シーラたちの部屋をリューが捜索、シーラ達の地図を発見する。その地図にはロマールから南西方向に有る地点に記しがあった。 そして走り書きで『メモ重要』という文字が……。一行は地図に記された地点が組織の拠点と読み、場所を目指して出発した。